さかのぼって
先週まで、しばらく、ホームページの新しい形式を探っていたため、更新が滞っていました。当面はこの形で継続していきくことにいたします。

その滞っていた間にお伝えすべきだったあれこれを、遅ればせながら掲載していきます。

まずは、福岡大会の内容を当日の日程に沿って。

平成23年度 
大村はま記念国語教育の会研究大会 
         【福岡大会】


〔研究1〕
ことばが育った実感
   大村教室の学習記録と「書く」ということ            苅谷夏子

 大村教室で学んだ中学生の日々、自分の中に思いもかけなかった新しい力が育っていることを感じ、嬉しく、誇らしかった。その自覚を助けた取り組みの一つが、学習記録であったと思う。学習記録を大切にすることと、自分(と自分のことば、自分の学び)を大切にすることは、非常に接近していたと感じる。書きながら育った、と言ってよい。そして振り返ると、学習記録にはたくさんの側面があり、そのどれもが重要な意味を持っていた。それを整理してみた。

○学習記録のいくつかの側面

1,とにかく自分がかかわったことがらを記録する
〈主体的な人として自然な/必然の営み〉
*本気で生きている人間の一種の存在証明。*記録に客観的な価値があるかどうかは、問う必要がない。*書かねば失われてしまうことを恐れるという面も。

2,学ぶ人・考える人として書いておくべきメモ
*すべての着想、疑問、反省、課題、調べる必要のあること。とりこぼしたら、失われてしまう契機。*取材という態度も含まれる。いつの日か、なにかに生かせるかも、という目。*「宝のような考えを書き留める」

3,考えるため、考えをすすめるために、書く
*「書くという、このからだの一部を使って、こみいった、めんどうな線を組み合わせていく仕事が、ふしぎに、心を一点に集めます。また、一つの考えが文字になって目に見えるものになりますと、その考えのいのちがはたらきだして、また次の考えが 引き出されていきます。そして、材木の中にきりをもみこんでいくように、深みへ深みへと、考えが伸びていきます。どうかすると、自分のこころのどこにもなかったような、すばらしい考えが鉛筆の先から生まれ出て、自分で自分の考えにうっとりしながらかみしめ直すようなことがあるでしょう。」            『やさしい国語教室』                                            *見やすさや記録としての完成度はほとんど重要でない。紙くずになってもいい。カードでも。

4,考えをまとめるために、全体の構成や関係性を意識しながら書く。〈試行錯誤の段階〉*この段階を書き残すことは、後で再検討の必要が生じたときに助けになる。*用紙のスタイルが重要な助けになることも多い。その工夫を覚えていく。*ある形で書いていくことが思考を助けることを覚えていく(進める/補助する/楽にする)→自分でその工夫ができるように

5,ひとまとまりの内容・考えをその時々にふさわしい形で書いておく。〈一般のノート〉
 *良い記録にするにはどうすればいいか、全体を俯瞰した結果を書くことになる。*いわゆる記録として、以降の仕事に役立つものにする。いわゆる「優れたノート」。仕事の共有や伝達、記憶の助け、といった実利を求める。

6,大きな枠組みの中で、当該の記録の意味や役割を意識し、ふさわしい扱いをする〈編集〉
 *学習記録の編集、目次、前書き、後書き、装丁などの作業がこれに当たる。*主体的な記録者でなければ、この仕事はうまく進まない。逆に、この仕事を大事に進めていくうちに、より主体的な当事者になっていく感じもある。

7,とにかく、書く力をつけるために書く。 *「大事なことは、これを書きながら育った、あなたの身についた力です。…書いたものは紙くずになっても、それを書いたあなたの身についた、書く力、考える力、まとめる力、そういうふうなものは、この紙に書かれた学習記録とは別の値うちとして、あなたのたいせつな生涯のもちものです。わたしがこの学習記録でいちばんねらっているのは、このことです。…筆無精でない、このことを皆さんの身につけたい。…そういうことは長い間、習慣になっていかないと、できないことなんです。」 全集12巻 

       
 ざっと考えてもこれだけの側面が、時々の局面に応じて用意され、強調されていたように思う。多くの教室でワークシートが広く使われているが、そこから子ども自ら飛び立って、自分のために書く人となるような視点・道筋があまり感じられないことが多い。学ぶ人、考える人が、ほかならぬ自分自身のために記録することを考える、そのためには大村教室の学習記録のこの多面性がもっと重視されていいのではないだろうか。
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by ohmurakokugo | 2012-06-13 22:58

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